美術と音楽が好きな人が喜ぶ本
視覚や聴覚でとらえる芸術を文章で表現するのは難しい。それでも挑戦したくなるのが作家なんですね。
原田マハ『楽園のカンヴァス (新潮文庫)』
主題は、アンリ・ルソー。主役の早川織江は、日本の地方美術館で監視員をしている。挫折を味わった人として登場する。そんな彼女がスイスに招かれて、真贋判定を行うというミステリー小説です。ライバルも登場します。
恩田陸『蜜蜂と遠雷』
主題は、芳ヶ江という地方都市で行われる国際ピアノコンクール。主役は栄伝亜夜20歳。かつて天才少女と呼ばれ、CDデビューも果たした。しかし、母の死をきっかけにリサイタルをドタキャンして引退した過去を持つ。今は音大の学生で、恩師の顔を立てるために、ピアノコンクールに出場した。はたして復活はなるか、というクラシック音楽小説です。
メインの登場人物はピアニストで、演奏中に彼らが感じたことをずーっと書いてます。音楽そのものの描写というのは少ないです。それでも2段組で500ページ以上あります。
脇役では、ステージマネジャーの田久保さんがかっこいい。セリフは、ほとんど「それでは、○○さん、時間です」だけなんですが。私も、こういう時間ですよおじさんになりたい。
2017年本屋大賞
足かけ7年もかけた大作『蜜蜂と遠雷』が1位、3年ぶりの森絵都『みかづき』が2位に入りました。力のある作品が上位を占めたことで、書店員の評判も高まることでしょう。