田舎で暮らしてみたいですか?
池田町のおかげでちょっと話題になってますね。
書き方が悪いとバッシングするのは、お門違い。
むしろ素直さをたたえてあげたい。
こういう本音を聞いて、田舎への移住を思いとどまる人が増えれば、幸いです。
丸山健二という作家が書いた古典『田舎暮らしに殺されない法』 (朝日文庫)、なんて本もありました。
まず、どうして田舎に住みたいのか、自問自答してみること。
なにを求めているのか?
そこがはっきりしないのなら、現状維持がベスト。
これまでに書いたのは、
田舎への「Uターン介護」は、親のためにならない
出身県の県庁所在地へのJターンがまし
自分が求めるものにより、町の適正規模が決まる
けっこう語ってますね。
大都会または地方都市、という選択はあっても、
田舎か街か、という二択問題はない。
武士から見た農民根性について、三船敏郎が力説。
それでも、最終的な勝者は武士ではなく…という映画ですね。
論文は読んだけれど
教科書に目を通したら、さっさと個別の話へと進む。
よく原典に当たれ、と言われるけど、コロナ関連では、めんどうだし、ときに難解。
たとえば、これ。
https://utsunomiya.hosp.go.jp/files/000159482.pdf
論文より新聞の方がわかりやすい。グラフも見やすく加工。
著者にインタビューして、その内容を付け加えてくれる。
たとえば、こんな感じ。
ただ力点の置き方が変わったりすることもあるので、念のためオリジナルも見ておいた方がいい。
ああ、めんどくさい。
新しいキーワードは、抗体価
免疫とワクチンのおさらい
ワクチンは、話が入り乱れて、筋がわかりにくい。
そこで札幌市の広報誌を手がかりに。
マンガの部分も、できるだけ文字に起こしてみます。
見出しなどは、行政がおすすめしたい情報で、それに対するコメントには私感が混じっています。
https://www.city.sapporo.jp/somu/koho-shi/202108/documents/20210802-07.pdf
概要は、
- 新型コロナウイルスに感染するとウイルスは体内でどんどん増えて症状が出たり、人に感染させたりします
- そこで、ウイルスが入ってきたときに免疫細胞たちがすぐに活躍できるように事前に備えるのがワクチンの役割です
- 仮にウイルスが入ってきても免疫細胞たちは準備ができていて、素早く体を守ることができます
1 新型コロナウイルスに感染するとウイルスは体内でどんどん増えて症状が出たり、人に感染させたりします
1-1新型コロナウイルスが飛沫に乗って体の中にやって来ました。
食事中におしゃべりすると、飛沫がよく飛びます。
はじめのころは、テーブルなどに付着した飛沫を手で触り、ウイルスが口から入らぬよう、手洗いが重視された。
その後、空気感染の方が多いことがわかりました。
1-2トゲを使って細胞の中へ入り込みます。
細胞表面の特定の受容体にくっついて細胞内に侵入
トゲは、スパイクタンパク質と呼ばれ、ウイルスの表面に72個ほどあります。各スパイクは、三角形状に小球3個がくっついたものです。この形のおかげで、細胞に付着しやすい。
この受容体がACE2。ACE2をもつ細胞は、肺に多い。だから、コロナウイルスに感染すると肺炎になりやすい。
よく鍵と鍵穴の関係として説明されるけど、スパイクが鍵で、ACE2が鍵穴です。
1-3不意を突かれた免疫細胞たちは準備不足。ウイルスが体内で増えて広がっていきます。
樹状細胞は、初登場。
ヘルパーT細胞は、いわば司令塔。液性免疫と細胞性免疫の両者をコントロールする。
キラーT細胞は自分で攻撃、B細胞は抗体で攻撃。
発症すると、症状は発熱 咳、痰、呼吸困難 味覚、嗅覚障害など。
症状が出ずに人に感染させることもあります。
デルタ株は、鼻腔で増殖して、ほかの人に感染させるので、とにかく換気が重要。
2.そこで、ウイルスが入ってきたときに免疫細胞たちがすぐに活躍できるように事前に備えるのがワクチンの役割です
2-1mRNAワクチンを摂取すると細胞が新型コロナウイルスのトゲだけを作ります。
●mRNAワクチン
mRNAとは細胞の中でさまざまなタンパク質を作るためのメモ紙のようなもの。今回のワクチンのmRNAには、新型コロナウイルスのトゲ(スパイクタンパク質)の作り方のみが書いてある。
◇一歩詳しく《その1》
・DNAからタンパク質を作るときに一歩詳しく使われるメモ紙「mRNA」
細胞内の核にあるDNAは、いわば生物の設計図。そのDNAから必要なタンパク質の作り方の情報を写し取るメモ紙のようなものを総称して、mRNA(メッセンジャーRNA)といいます。細胞はこのメモ紙に従って、タンパク質を作ります。
DNAの情報を写し取る 核の外でタンパク質を作る
リボソームがタンパク質の組み立て場、でしたね。
2-2ワクチン接種でトゲの情報が免疫細胞たちに共有されて戦う準備をします。
抗体
2-3 1回目の摂取だけだと免疫細胞たちはトゲのことを長く覚えていられません。
免疫記憶
2-4 2回目の摂取から2週間ほどでトゲを標的とした攻撃態勢が記憶されます。
《不安や疑問》
●どうして2回の接種が必要なの?
→新型コロナウイルスが体内に入ってきたときにより早く、より多くの抗体を作るためです
ファイザー社製とモデルナ社製のいずれにおいても、それぞれ一定の期間を空けて、2回のワクチン接種をすることで、特徴を覚えた免疫細胞がより強く定着するとされています。
◇一歩詳しく《その2》
・スパイクタンパク質だけの情報を届ける「mRNAワクチン」
細胞がDNAからタンパク質を作る仕組みを使って、細胞内に入ったワクチンのmRNAは、トゲに相当するスパイクタンパク質を核の外で作ります。mRNAが核の中のDNAに入り込むなどの影響はなく、使用されたら体内で分解されます。
ワクチンに含まれるmRNAの寿命は短い。
mRNAの情報が核の中にあるDNAに影響することはない。
この2つが公式見解です。これに異議を唱える人もいるようですが。
3.仮にウイルスが入ってきても免疫細胞たちは準備ができていて、素早く体を守ることができます
ウイルスに感染した細胞を攻撃するとともに抗体がウイルスの細胞への侵入を防ぎます。
《不安や疑問》
ワクチンの効果にはどのようなものがあるの?
→発症や重症化を防ぐ効果があるほか、自分への感染や他人への二次感染も防ぐ効果も
症状が出るのを防ぎやすくなるという効果は早い段階で判明していましたが、最近は感染しにくくなるという研究結果も。このことから、ワクチンを接種することで、家族や周りの人を感染から守ることができると考えられています。
これは違うようです。発症を防ぐ効果は、接種後数か月で消滅してしまいます。ですから、ワクチンは重症化予防のためにうつと考えた方がいいでしょう。
《不安や疑問》
●どのような副反応が起こるか心配です
→接種部位の痛みや、頭痛・発熱が多いです
2回目の接種時の方が、より強い免疫反応が起こるため、副反応は強くなりがちです。しかし、症状の大部分は、数日以内に回復しています。また、因果関係が認められた副反応の一つに、まれに起こる急性のアレルギー反応がありますが、その場ですぐに治療を受けることになります。効果と副反応を踏まえて、接種するかどうかご判断ください。
自分で判断と明言しているのは、すばらしい。
65歳以上、男性、BMI30以上、2型糖尿病などの条件に当てはまり、人との接触を避けられないのなら、接種する方がベターだと思う。
◆心配される変異株の影響
変異株は、従来株より感染性が高く、今まで感染しなかった場面で感染する恐れも。アルファ株の感染性は1.32倍、デルタ株の感染性は1.98倍。
変異するとスパイクタンパク質の一部が変化
《不安や疑問》
●変異株にもワクチンは有効なの?
ウイルスは一般的に絶えず変異しますが、小さな変異でワクチンの効果がなくなるというわけではありません。アルファ株ではワクチンの有効率に大きな低下は見られず、デルタ株では少し低下するものの、有効であったという報告もあります。変異株に対するワクチンの有効性がどのくらいあるのかについては、継続して確認が進められています。
つまり、これから明らかになるものがある、ということですね。
基礎のおさらいは、こんなもんでしょうか。
最新免疫学から分かってきた新型コロナウイルスの正体―宮坂昌之・大阪大学名誉教授 | Science Portal - 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」
こんな説明も、さっとわかります。
交差免疫が新しいキーワードですね。
あとは、各論といきましょう。
コロナウイルスに立ちはだかる白血球
さて、いよいよ免疫系の話です。
免疫は、機能面から2つに分類できる。
液性免疫は、抗原に対して特定の抗体がつくられ、それによって生体を防御する仕組みで、リンパ球のうちのB細胞が担う。抗原抗体反応です。
細胞性免疫は、生体内に侵入してきた病原体に対して、リンパ球それ自体が直接攻撃をしかける。リンパ球のうちのT細胞やNK細胞が担う。
図5には説明していないことも描かれていますが、まずは2つの機能を区分して理解しましょう。
全体図にすると、こちらの図1になります。
抗原に対応する抗体をつくるのは、リンパ球のB細胞が分化してできた形質細胞です。
Y字型をしており、両側の先端で「抗原」にくっつきます。そして、Y字のおしりの部分を介してナチュラルキラー細胞やマクロファージといった免疫細胞にくっつき、これらの細胞の助けを借りてウイルスをやっつけます。
一方、形質細胞に分化しなかったB細胞は、記憶細胞(メモリー細胞)となり、入ってきた抗原を記憶します。これによって、次に同じ抗原が侵入してきたときにも、すばやく反応することができるのです。
B細胞に抗原の侵入を知らせるのはヘルパーT細胞で、ヘルパーT細胞からの連絡を受けると、B細胞はすぐに分裂を始め、形質細胞へと分化します。
抗体は、免疫グロブリンというタンパク質で構成されている。
抗体の可変部の違いにより、免疫グロブリンは、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDの5つのクラスに分けられます。
抗体の構造は、こちらの図4。
ちょっと詳しすぎる。
Y字型であること、可変部と定常部があることが基本です。
前回の説明で、
「侵入してきたコロナウイルスは、好中球やマクロファージに食べられる」のでしたね。
そのときマクロファージは、「ここに敵がいるぞ」とほかの細胞に知らせる。その情報は、サイトカインという物質で送られます。
その知らせを受けて、キラーT細胞に「攻撃しろ」と指令を出すのがヘルパーT細胞。ヘルパーT細胞は同時に、敵に対して最も効果的な武器(抗体)を生産するB細胞を選び出し、抗体をつくらせます。
しかし、サイトカインをいつまでも出し続けると、自分の細胞までダメージを受けてしまう。アレルギー反応が出る可能性も。
それを防ぐのが、サプレッサーT細胞です。
白血球などの免疫細胞は、「自己」と「非自己」を区別し、自分でないものを攻撃する。人間の場合は、ヒト白血球抗原(HLA)で区別します。HLAは、染色体のある場所に固まって存在し、多数のハプロタイプに分類できます。
ひところ「ファクターX」が話題になりましたが、HLA遺伝子の違いと関係あるかもしれません。
コロナウイルスに立ち向かうファイターたち
人体には、防御機構が備わっています。
免疫は、特定の病原体が入ってくると、それをしっかり認識して排除する。これは決まった相手にしか働かないため、特異的防御機構と呼ばれる。
一方、「異物であれば、相手を選ばずなんでも攻撃する」のが非特異的防御機構で、人体に備わった各種のバリアと、あとで説明するナチュラルキラー細胞(NK細胞)と食細胞(食作用をもつ好中球とマクロファージ)があります。
外敵の侵入を防いでくれるのがバリアなのだから、働きやすい環境を整えてあげることも大切。
コロナ対策だからといって、手を消毒しすぎると、皮膚のバリアを壊してしまう。手洗いは、ほどほどに。
鼻から吸い込んだコロナウイルスは、鼻毛で遮られ、鼻水にくっつき、それでも体内に入ろうとすると、のどにある線毛が排出してくれる。
だから、鼻毛はできるだけ密集させ、さらに鼻の入り口にワセリンを塗れば完璧。
帰宅したら、鼻うがいを。
線毛が活発に動いてくれるのは、湿度が40%~60%のとき。夏はエアコンで冷房して湿度を下げ、冬は加湿器を使うとよい。
各種のバリアをすり抜けて上気道(鼻から鼻腔、鼻咽腔、咽頭、喉頭まで)や肺にとりついたコロナウイルスは、異物として免疫の餌食となる。
免疫の主役は、白血球です。
白血球は、細胞の中につぶつぶがある「顆粒〈かりゅう〉球」と、つぶつぶのない「無顆粒球」に分けられる。
顆粒球には、酸性の色素に染まる「好酸球」、塩基性の色素に染まる「好塩基球」、中性の色素に染まる「好中球」がある。
無顆粒球には、「単球」と「リンパ球」がある。
単球は、血管から出るとマクロファージ(大食細胞)と名前が変わります。
侵入してきたコロナウイルスは、好中球やマクロファージに食べられてしまう。
ついでに書いておくと、リンパ球には、外敵をやっつけるB細胞、T細胞のほかに、体内にある異物を攻撃するナチュラルキラー細胞(NK細胞)がある。NK細胞は、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃する。ただし、NK細胞の活性は年々弱くなるので、高齢者はがんになりやすく、コロナウイルスにも弱い。
白血球の話は、次回もつづく。