あれから30年 その後のミニマリスト

節約しすぎないシンプルライフ

シンプルな食べものとは

グルメとかレシピサイトとか、モアベターな食文化が盛り上がっているようですね。では、盛り下がるとどうなるでしょうか。

土井善晴一汁一菜でよいという提案

土井さんは、1957年生まれ。土井勝という著名な料理研究家を父に持ち、欧州でフランス料理を学んだ人です。帰国して、和食を再発見し、日本料理を修行しました。そしてたどりついたのが家庭料理なのです。

一汁一菜とは、ただの「和食献立のすすめ」ではありません。一汁一菜という「システム」であり、「思想」であり、「美学」であり、日本人としての「生き方」だと思います。

フランス生活の影響か、理屈っぽいですね。ハレの料理とケの料理を区別しましょうと。さらに、家庭料理はおいしくなくてもいい、とまで言い切っています。

本としてはごった煮です。具だくさんの味噌汁とかの写真だけでなく、思いのたけをすべて綴ってくれました。ふだんの料理番組というのは、その上澄みをいただいているのですね。

堀井和子うちで焼く丸パン

堀井さんは、1954年生まれ。上智大学フランス語学科卒業です。コックさんでもなく、パン屋さんでもありません。スタートは、料理スタイリストのようです。

しばらくアメリカに住み、帰国後、パンの本を書きました。「堀井和子の気ままなパンの本」(1988)、「堀井和子の1つの生地で作るパン」(1996)、そして「うちで焼く丸パン」(2004)。8年ごとの出版ですが、どんどんシンプルに。

本書には、13種類のパンが掲載されています。その中のひとつがブレッチェンです。旅をした時の朝食はこれが定番でした。ナイフで半分に切り、ジャムやバターを塗って食べるのですが、付け合わせが何もないのです。おまけに、フランスだとコーヒーが丼に入って出てくるし。これがミルクティーならどんなによかったか。コンチネンタルは、いささか栄養不足ですね。

料理のベテランになると、一汁一菜とか1つの生地とか、作るものもシンプルになってくるようです。