あおによし 奈良時代小説
奈良時代は710年から784年までの74年間で、天平文化が花開いたと習った。
律令国家が完成した時期のはずが、実はいくつもの内乱があり、女帝の時代でもあった。
はじめは肩の力を抜いて読めるものを。
『キサキの大仏』は、聖武天皇が建立した大仏の開眼(752年)までを描いている。
主役は、妻である藤原光明子。娘の阿部(皇太子)や藤原仲麻呂も出てくる。
こちらが奈良時代の前半とすれば、後半は
阿部(称徳天皇)が亡くなり、幻の遺言が残されて…、とミステリー要素がある小説。
仲麻呂の乱などは回想形式で描かれる。
のちに桓武天皇妃となる酒人内親王がキーに。
話が錯綜するので、ちょっと読みにくい。
そんな古代でも、現場はあった。ディテールを描くのは、澤田瞳子がうまい。
疫病(737年)が流行し、藤原四兄弟がつぎつぎと倒れた。
庶民を治療する施薬院が舞台のパンデミック小説。
仲麻呂の乱(764年)前後の大学寮が舞台となる
大仏建造の現場で働く料理人が主役。