あれから30年 その後のミニマリスト

節約しすぎないシンプルライフ

評伝『赤星鉄馬 消えた富豪』

イギリス人が書いた『釣魚大全』1653年から、

勇ましきは釣師の生涯
そはなによりも抜きんでて
幸せに満ち 争いとてなく
親しき仲間の寄り集う
他の楽しみの かくも空しき
砂上の楽園 朝まだき夢
幼児の遊びし玩具のあるのみ
神の摂理にかなうは釣りのみ
禍をだれに及ぼすことなく
快き充足は
われらの技がもたらすのみ

大正3年、英国スタイルの釣りバカが集まって「丸沼鱒釣会」を結成。
釣りをするだけでなく、日光湯元から丸沼までの山道を改修する費用も負担した。
金持ちの道楽ですね。
会員の赤星鉄馬は、大正7年に学術財団「啓明会」を設立。
鉄馬が拠出した100万円を運用し、毎年5万円を研究の助成にあてる。
初年度に採用されたテーマは、
アイヌ調査事業、生体染色の研究、日本産魚類図説の発刊、メキシコの日本人移民のためのスペイン語辞典の出版、校本万葉集の整理および刊行。
その後も、高群逸枝の「大日本女性史の著述」など直接生産に寄与しないテーマを助成している。大正デモクラシーのあらわれなのかもしれない。
戦中は、啓明会もいろいろ圧迫を受けたようですが、
昭和19年度でさえ、11件の助成を実現。
しかし昭和21年の財産税法の施行により、助成事業の継続は困難となる。
啓明会の助成事業を止めたのは、戦争ではなく戦後の民主化だった。

赤星鉄馬 消えた富豪