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あれから30年 その後のミニマリスト

節約しすぎないシンプルライフ

高田郁『みをつくし料理帖』vsあさのあつこ弥勒シリーズ

女の人が書く時代小説の中でも、この2作品は対照的です。

『八朔の雪―みをつくし料理帖

高田郁は、山本周五郎にノックアウトされて時代小説を書きはじめました。『みをつくし料理帖』は、朝ドラのような明るさと軽快さがあります。作者は、おそらく図書館にこもって調べものに明け暮れて書いたのでしょう。近所に「つる家」みたいなお店があったらな、と思わせる小説です。

『弥勒の月』

『バッテリー』で有名になったあさのあつこは、藤沢周平の影響で時代小説を書きはじめました。代表作の弥勒シリーズは、まだ完結していません。はっきり言ってネチネチした小説です。とくに『冬天の昴』は圧巻。最新刊の『花を呑む』は、流産した話から入るので、ヒリヒリします。

それぞれに師とする作家がいるのに、作風を受け継いでいません。2人とも、独自の路線を歩んでいます。

みをつくし料理帖』は、料理の好きな方はもちろん、どちらかというと若い人向きかもしれません。弥勒シリーズは、事件を解決する捕物帳のスタイルをとりつつも、心理的なキャッチボールが濃密です。ふわふわした読み物にあきたりない方はどうぞ。


20代のころ、同じ職場にいかにもお嬢さま育ちの人がいました。ハイキングでご一緒したのがきっかけで話すようになったのですが、流産してしまい、しばらく仕事を休んでいました。復帰してきたときに、どう声をかけていいかわかりませんでした。そのときの感覚が、ヒリヒリです。それがもし家族であったなら…。