介護しすぎない「ミニマムケア」
ミニマムケアとは
親の自律能力を信じて、自立状態を長く維持するために、手伝いを最小限に抑える介護のことです。本人ができることまではしてあげないのが、本当の意味での思いやり、という考え方です。
やってあげた方が楽、その方がさっさと済むし、と思っても手を出さずに見守る。そうしないと、使わない機能は衰えていき、機能が衰えれば、自分の思い通りにできないことが増えていく。
有料老人ホームなら、たしかに手厚い介護を受けられます。イベントや手先を使う娯楽もあります。でも、人に必要とされる仕事がないのです。たとえ認知症になっても、洗濯ものをたたんだり、できることはあるのです。自宅であれば、自分でやるはずの家事を、ひとつもやらせてもらえないのです。
介護に対する考え方には男女差がある
あくまで一般的な傾向ですが、あえて手伝わない・世話をしないで介護するのは、男が多いようです。女の場合、そういう介護を目にすると、思わず手を差し伸べてしまいます。
ミニマムケアを実践する息子は、姉妹や妻が手出しすると、自分が目指してきたものが台無しにされたように感じます。やがて、彼女たちには介護にかかわってほしくないと、家族を介護から遠ざけるようになります。
逆の立場からは、「息子がケアをしていない」ように見えます。結果として、ミニマムケアは家族の間で衝突を生みかねません。
ミニマムケアが終わるとき
それは「親はまだまだ一人でやっていける」と信じる息子の期待を、現実が裏切り始めたときです。たとえば、認知症の症状が重くなり、妄想や徘徊が頻繁になり、自分が夜もおちおち寝ていられなくなったときです。
そのときに、介護を失敗した自分を責めたり、しゃんとしない親をしかったりせずに、別の道を探す必要があります。
平山亮『迫りくる「息子介護」の時代~28人の現場から~』(光文社新書)
お金持ちになるのは、さほど難しくはない
- はじめに
- 収入を下回る支出で生活する
- 世間体よりも、お金の心配をしないですむことのほうが大切
- 子どもを経済的に自立させる
- 価値観を共有し、支えてくれる配偶者を見つける
- すべてを現金で保有せず、他の資産に換える
- 株式投資は控えめに
- 寄付をする
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
- まとめ
はじめに
アメリカでは1億円の資産を持つと、お金持ちと認定されます。実証主義の国だけあって、お金持ちの消費行動が詳しく分析されています。
『「ふつうの億万長者」徹底リサーチが明かす お金が“いやでも貯まる”5つの「生活」習慣』 (East Press Business)
彼らは、300ドル以下のスーツを買い、乗っている車の価格は3万ドルほど。倹約により、収入は低くても、お金持ちになれたのです。
これなら日本のサラリーマンでも、億万長者になれるはずです。そのためには、どうすればいいでしょうか。
収入を下回る支出で生活する
当たり前の話ですが、できない人が多いようです。私も毎月赤字で、ボーナスで帳尻を合わせていた時期があります。クレジット・カードで買い物をしすぎると、あとが大変。審査が甘く、会費が無料のカードを持っている人ほど、リスクが高そうです。
世間体よりも、お金の心配をしないですむことのほうが大切
昇進して給料が上がっても、高級住宅街には住まない。億ションも買わない。自分よりも金持ちとつきあうと、身の丈以上に出費がかさみます。懐具合が似ている者同士でつきあうのがいいようです。
子どもを経済的に自立させる
非正規雇用だと、自立はしていても、将来の安定性に不安が残ります。就活の時期が好景気かどうかで決まってしまう部分があるので、悩ましいところです。アッパーミドルは、子を自立させるのがうまい。小さいころから、そう仕込んでます。
価値観を共有し、支えてくれる配偶者を見つける
ふつうの人が、お金持ちになるための必須条件です。ミニマリストの給料取りが結婚してごらんなさい、2人合わせて600万円の収入しかなくても、毎年200万円は貯まります。昇給して800万円になると貯金は400万円です。ミニマリストは、収入がアップしても支出を増やしません。
ミニマリストがそうでない人と結婚すると、支出面で妥協するので、貯金はたいして増えません。かといって、自分の価値観を押しつけたのでは、相手が気の毒です。おそらく、自分も幸せになれないでしょう。
すべてを現金で保有せず、他の資産に換える
住宅と株式が一般的です。高額所得者でない億万長者は、30万ドル未満の住宅を所有しています。アメリカでは中古住宅が売れるので、手入れすれば家の資産価値が上がります。日本では、築20年で粗大ゴミとなりかねません。住宅ローン減税制度というものがあって、10年間で最大400万円も控除されます。
株式投資は控えめに
アメリカの億万長者の資産のうち、株式は20%~30%です。これならリーマンショック級の暴落でもしのげます。もっとも住宅の評価額も下がりますが。
寄付をする
平成17年のデータによれば、寄付で集まる総額を比較すると、アメリカは日本の100倍以上でした。アメリカは、税制が優れているのでしょう。日本でも、ふるさと納税に取り組む人が増えました。ここまでくれば、寄付まであと一歩です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
住宅ローンの返済が終わってしまった人に向きます。課税所得の多い人なら、掛け金の3割も減税されます。こんなにリターンの大きい金融商品はありません。
まとめ
ミニマリストはお金持ちになる素質を持っています。それを助長してくれるような伴侶に巡り合えるといいですね。
かつてはシンプル・ライフが一般的でした
テレビのCMは、時代の雰囲気をよく表しています。
大きいことはいいことだ
日本は、むかしから小さいものをめでる文化でした。盆栽がいい例です。
ところが、高度成長期の1967年には、森永エールチョコレートが発売され、大きいことが絶賛されました。ちょうど東京五輪(1964)と大阪万博(1970)の中間です。
CMで有名になった山本直純は、のちに「男はつらいよ」の主題歌を作りました。
気楽にいこう
1970年になると、光化学スモッグが発生し、公害が一般の人にも知られるようなりました。経済にブレーキが必要だとの声も聞こえはじめた1971年、鈴木ヒロミツが故障した車を押すCMが流れました。「のんびりいこうよ」というのどかな歌詞です。
シンプル・ライフ
1973年にオイル・ショックが起こり、トイレットペーパーがないないないと、大騒ぎになりました。
そんな時代を経て、1976年に高倉健がCMに登場し、ひとこと「シンプル・ライフ」と。大人のカジュアル・ファッションをアピールしたのです。
もっとも、そんなことがなかったかのように80年代はバブルに浮かれ、90年代に沈没したのでした。やがて、さとり世代が登場し、ミニマリストにスポットが。
時代がぐるぐる回っているように感じます。衣食が足りると、欲しいものが減っていくのでしょうね。
ジジババが山盛りのホラー・ドラマ「やすらぎの郷」
半端な中年ドラマを作っていた倉本聰が、起死回生の「やすらぎの郷」をぶちかました。老人ホームが舞台で、原節子も住んでいそうな雰囲気。
九条摂子は、久我美子がモデルでしょうか。演じている八千草薫と同じ年(1931)の生まれで、岸惠子・久我美子・有馬稲子の3人で「にんじんくらぶ」(1954)を結成しました。その有馬も歌手役で出演しています。
八千草薫の若いときの写真が映し出されました。笛を持っているのは、宮本武蔵のお通役でしょう。彼女の代表作は、「夏目漱石の三四郎」(1955)のヒロイン役です。岩崎加根子との対比が鮮やかでした。その後、2人とも寅さんと共演してますね。
八千草は、70年代の後半にテレビで大活躍。「前略おふくろ様II」(1976年)で倉本、「岸辺のアルバム」(1977年)で山田太一、「阿修羅のごとく」(1979年)で向田邦子と組みました。軽いところでは、「ちょっとマイウェイ」(1979年)なんてのもありましたね。
「やすらぎの郷」には、これでもかというほど、ばあさんが出てきます。怖いもの見たさで、クセになりそうなドラマです。
自宅で介護するのは、やはり大変です
はじめに
50代になると、介護が視野に入ってきます。そういう年回りです。そのころ、引っ越しの覚悟を決めました。幸いにしてかどうかわかりませんが、周囲の反対により、実現することはありませんでした。でも、そのときに心の中で区切りをつけたので、身辺整理に無理なく入れました。
核家族が多くなり、老親と同居する人は減っています。しかし、介護はいつ身に降りかかってくるかわかりません。気づいたことをいくつか書いてみます。私が直接差配したことはないので、割り引いて読んでいただければと思います。
介護のバリエーション
一族を見まわしても、自宅介護、病院で長期療養、有料老人ホーム、特養、グループホームといろいろです。有料老人ホームと特養では、看取りをしてもらえました。
訪問医療は可能か
自宅介護するには、往診してもらえるドクターと出会えるかが鍵です。うちの場合は、大きな病院で紹介してくれました。わからないときは、訪問看護ステーションに問い合わせるのがいいと聞きました。あの医者はダメよ、とか教えてくれるかもしれません。
自宅介護するかどうかで悩む
国の方針として自宅介護を推進していますが、実際にやっているのを見ると、かなり大変です。介護職の人でも、自分の親は施設に入れると明言しています。
たとえば、認知症が進んで家族の手に負えなくなったとき、有料老人ホームに入ることで症状が落ち着きました。ストレッチャーでかつぎこまれたのに、数か月で伝い歩きができるようになりました。他人に対する遠慮があり、わがままも出にくいようです。
自宅で介護ができそうな人は?
母親が父親を介護しているのを見ていた人、家事が得意だけどずぼらな人、周囲の者たちを手足のように使える人。母は、介護中でも遠くまで散歩に出かけていました。息抜きしなくては、続きません。
おしまいに
病気がひとつくらいあっても、年をとるとポックリいけません。介護は、長丁場です。完璧を求めずに、制度でも、保険でも、役に立つものは総動員して、しのいでいきましょう。
長岡美代『介護ビジネスの罠 (講談社現代新書)』
読んで楽しい本ではありませんが、転ばぬ先の杖として一読を。