あれから30年 その後のミニマリスト

節約しすぎないシンプルライフ

アーリーリタイアの前にやっておくべきこと

 ちかごろ増えてるアーリーリタイア、その前にやっておくことがあります。

お金のコントロール

これは単純な話で、自分の家計をしっかり把握しておくことです。もちろん、その上で出費を圧縮します。

目安としては、月に10万円貯金が増えないようでしたら、アーリーリタイアを先延ばしにした方がいいです。資産が多い人は別ですが。

先のことを考えて、用意周到に準備する人なら、リタイアしても滑り出し順調です。しかし、私の場合は見切り発車だったので、1年目に大きく貯金を減らしました。回復するのに、何年もかかりました。

巷間では、生活防衛費は2年分と言われていますが、無計画な人はもっと積んでおいた方がいいです。安心感がないと、どつぼにはまってしまうかもしれません。

どこに住むか

もうひとつ決めておくことは、住むところをどうするかです。現在のままか、住居費の安いところへ引っ越すか。大都会から地方へ引っ越すと、家賃が安くなっても、車が必要になります。トータルでは、さほど変わりません。

それなら、もっと田舎に引っ越せばいいだろう。そう思った人は、それなりに調べているでしょうから、何も申し上げません。

素直な感想を述べれば、やめておいた方が無難です。それこそ、若い人を見習ってください。どうして若者は都会へ出ていくのか、そこに答えがあります。

めでたくリタイア

さて、これでベースが整ったでしょうか。住むところがあり、多めの貯金があれば、アーリーリタイアは可能です。リタイアしてから何をするかは、おまかせです。不問です。ハッピー・リタイアメントにならんことを。

人生の転回はゆっくりと

出産と育児、卒業と就職、結婚と新婚旅行、いろんなことがセットで起こります。それ以前と以後では、くっきり違います。急転回ですね。

ジジババが急転回すると、転倒してケガをします。安全のためには、少しずつ踏みかえながら、進む方向を修正するのがよさそうです。

数年かけて生活を変えてきましたが、その仕上げとして1つの仕事を終わりにし、ブログをはじめました。ふつうの人なら、もっと早くはじめたでしょう。しかし、むかしから二股というのが苦手なのです。

軌道修正するのに、2つの指針を定めました。

  • ずーっと年下の人から学ぶこと。中年の入口でコースを決めたままなので、世の中の変化にぽつんと取り残されているかもしれないからです。自分が説教したくなるような人の方が、正しい選択をしているかもしれない。
  • なるべく人のまねをすること。これまでは無意識のうちに、人のやらないことの方へ足が向いていました。こんどは逆に、みんながやるようなことをやってみようと思いました。というわけで、はてなブログです。

私が選択しなかったのは、ノマドになることです。自分の中には、3つのモデルがありました。いずれも夫婦2人です。

  1. 55歳で定年退職して、永住先を求めて、旅する人。一流企業でサラリーマンをやっているうちに、日本人が嫌いになってしまいました。米国や南米で長期滞在した経験があり、さらにアジアへと目を向けました。それでも、ここという場所が見つからず、漂流したままでもいいか、というのが結論のようです。
  2. 退職後、家を売り払い、キャンピングカーを買って、国立公園のキャンプ地を移動するアメリカ人。そういう人は多くて、行く先々で交流する楽しみがあります。
  3. 小さな船を作り、欧州の運河を巡っているフランスの年金生活者。停泊地では、燃料の補給や下水処理などのサービスが受けられます。

私の場合は、ベースキャンプを定め、そこから各地へアタックするほうが向いているので、ノマドにはなりませんでした。どちらにしても、自分の終着点へ向けて、家をどうするかが課題になりそうです。

節約も度が過ぎると

 

節約とは、出を制すこと。できないひとが、手っ取り早くできるようになるには、どうするか。とても簡単です。

節約力をアップするには、旅に出るのがいい。

往復切符を買って、空港に降り立てば、もう現地人。帰国するその日まで、持ってきたお金でやりくりしなくてはなりません。ホテル、美術館、交通費…、何をしてもお金に羽がはえて飛んでいきます。宿で一緒になった人を見ると、家計簿をつけてるじゃありませんか。さっそく、マネしてみました。

たしかに使わなければ、お金は残ります。かといって、ただ節約するだけでは、旅っておもしろくないんですよね。たまにはリッチな食事をしたり、劇場に足を運んだり。そうやってメリハリをつけることも覚えました。

そうこうしているうちに、気がついてみると、節約力がアップしているわけです。めでたし、めでたし。

コスト削減にはまる

のちにサラリーマンとなり、品質・コスト・納期の世界に放り込まれました。初めて担当した仕事で、緊張したためか、一気に節約モードに入ってしまいました。無駄を省き、ゴールめざして一直線。それでも、なんとか完了できました。

ところが、終わってみると、コストが異様に低いのです。原価チェックのおじさんに呼び出されて聞かれました。これ1ケタ間違ってないですか?と。

そのときに、やっと気づきました。もっとコストをかけるべきだったと。それはムダ使いということではなく、もう少し時間をかけてキャッチボールしたり、何かやるべきことがあったのではないかと。

A地点からB地点まで移動するだけが、旅ではありません。そこでいろんな人と出会ったり、体験したり、そいうものをひっくるめて旅なんです。

仕事も同じで、Aという状態を加工してBという状態にするだけでなく、そのプロセスで成長してこそ仕事といえるのです。つまり節約が過度になってしまうと、仕事がやせ細っていくのではないかと、気づいたわけです。

節約とは、出を制すこと。やりすぎると拒食症になる。

というのが、結論でしょうか。ほんとは、そんなことを考えず、楽しくやっているうちに、いろいろ身についてくるのが一番なんですが。

シンプルな食べものとは

グルメとかレシピサイトとか、モアベターな食文化が盛り上がっているようですね。では、盛り下がるとどうなるでしょうか。

土井善晴一汁一菜でよいという提案

土井さんは、1957年生まれ。土井勝という著名な料理研究家を父に持ち、欧州でフランス料理を学んだ人です。帰国して、和食を再発見し、日本料理を修行しました。そしてたどりついたのが家庭料理なのです。

一汁一菜とは、ただの「和食献立のすすめ」ではありません。一汁一菜という「システム」であり、「思想」であり、「美学」であり、日本人としての「生き方」だと思います。

フランス生活の影響か、理屈っぽいですね。ハレの料理とケの料理を区別しましょうと。さらに、家庭料理はおいしくなくてもいい、とまで言い切っています。

本としてはごった煮です。具だくさんの味噌汁とかの写真だけでなく、思いのたけをすべて綴ってくれました。ふだんの料理番組というのは、その上澄みをいただいているのですね。

堀井和子うちで焼く丸パン

堀井さんは、1954年生まれ。上智大学フランス語学科卒業です。コックさんでもなく、パン屋さんでもありません。スタートは、料理スタイリストのようです。

しばらくアメリカに住み、帰国後、パンの本を書きました。「堀井和子の気ままなパンの本」(1988)、「堀井和子の1つの生地で作るパン」(1996)、そして「うちで焼く丸パン」(2004)。8年ごとの出版ですが、どんどんシンプルに。

本書には、13種類のパンが掲載されています。その中のひとつがブレッチェンです。旅をした時の朝食はこれが定番でした。ナイフで半分に切り、ジャムやバターを塗って食べるのですが、付け合わせが何もないのです。おまけに、フランスだとコーヒーが丼に入って出てくるし。これがミルクティーならどんなによかったか。コンチネンタルは、いささか栄養不足ですね。

料理のベテランになると、一汁一菜とか1つの生地とか、作るものもシンプルになってくるようです。

美術と音楽が好きな人が喜ぶ本

視覚や聴覚でとらえる芸術を文章で表現するのは難しい。それでも挑戦したくなるのが作家なんですね。

原田マハ楽園のカンヴァス (新潮文庫)

 

主題は、アンリ・ルソー。主役の早川織江は、日本の地方美術館で監視員をしている。挫折を味わった人として登場する。そんな彼女がスイスに招かれて、真贋判定を行うというミステリー小説です。ライバルも登場します。

恩田陸蜜蜂と遠雷

主題は、芳ヶ江という地方都市で行われる国際ピアノコンクール。主役は栄伝亜夜20歳。かつて天才少女と呼ばれ、CDデビューも果たした。しかし、母の死をきっかけにリサイタルをドタキャンして引退した過去を持つ。今は音大の学生で、恩師の顔を立てるために、ピアノコンクールに出場した。はたして復活はなるか、というクラシック音楽小説です。

メインの登場人物はピアニストで、演奏中に彼らが感じたことをずーっと書いてます。音楽そのものの描写というのは少ないです。それでも2段組で500ページ以上あります。

脇役では、ステージマネジャーの田久保さんがかっこいい。セリフは、ほとんど「それでは、○○さん、時間です」だけなんですが。私も、こういう時間ですよおじさんになりたい。

2017年本屋大賞

足かけ7年もかけた大作『蜜蜂と遠雷』が1位、3年ぶりの森絵都みかづきが2位に入りました。力のある作品が上位を占めたことで、書店員の評判も高まることでしょう。

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