あれから30年 その後のミニマリスト

節約しすぎないシンプルライフ

朝井まかて『銀の猫』

十朱幸代が千秋実を介護する映画*1がありました。銀の猫は、介護をテーマにした時代小説です。

お咲は、バツイチ25歳の介抱人。訪問介護を生業としている。3日泊まり込み、1日休みをとるのが基本ローテーション。しかし、ご指名が多くなかなか休めない。

新しい介抱先に出向き、介抱のめどがたったら、別の介抱人や身内に後をゆだねる。お咲は、自分の仕事をそんな橋渡しと心得ている。

江戸時代、年寄りの介抱を担っていたのは男だったそうです。町人も武家も。奥さんがやる義務はなかった。一家の主人が差配するのが孝の原則だったので、お金にゆとりがあれば、介抱人を頼んだりもした。これは知りませんでした。

時代小説でありながら、老碌の症、老老介抱、無尽講など、現代と共通するフレーズが出てきます。「介抱は、一人と二人ではできることが天と地ほど違うのだ」。御意。

とくに「狸寝入り」の章は、思わず笑みがこぼれてしまいました。私も、狸寝入りができるように修行いたしましょう。寝た子?は起こさぬよう願います。

*1:花いちもんめ(1985)