お金のことで新社会人に伝えたいこと
旧人類からのメッセージです。お急ぎでなければ、どうぞ。
天引き貯蓄法
最初にもらった給料を何に使おうか、今から楽しみですね。でも、その前にやっておくことがあります。天引きの貯金の手続きです。一般的には、財形貯蓄になるでしょうか。大きい会社なら社内預金があり、金利の上乗せがあります。
1万円でもいいから、とにかく始めることです。あれこれ迷って、チャンスを逃さないようにしましょう。身近なところにもいるんですよ、いまだに貯金できないのが。もう中堅社員なのにね。最初が肝心です。
口座を開く
会社で指定されていれば、問答無用です。そうでなければ、地元の銀行をメインバンクにしましょう。ネット銀行は、公共料金の引き落としや還付された税金の振込先には向かないので、サブバンク扱いです。
地元の銀行であれば、災害時に通帳・印鑑なしで、20万円まで受け取れます。ですから、口座の残高が20万円を下回らないようにしましょう。
余裕ができたら、ゆうちょ銀行にも30万円を確保します。これも災害時用です。生活防衛資金がどうとかの議論に惑わされる必要はありません。地震や火災があっても、50万円あれば当面はしのげるでしょう。
節約上手だと、1年もすると預金残高が大きくなってきます。放置すると、銀行から営業の電話がかかり、よからぬ商品を売りつけられます。そうならぬよう、天引きの金額を増やしましょう。
クレジット・カード
社会人になれば、クレジット・カードが使えます。最初は、キャッシングとリボルビング払いは厳禁です。いつも一括払いで利用します。ただし、海外旅行するときは、一時的にキャッシングできるようにしておきます。円を現地で両替するときの手数料よりも、キャッシングの金利の方が安いからです。
細かい話をすれば、きりがありません。とにかく、滑り出しが大切です。それでは、楽しい会社生活を。
朝井まかて『銀の猫』
十朱幸代が千秋実を介護する映画*1がありました。『銀の猫』は、介護をテーマにした時代小説です。
お咲は、バツイチ25歳の介抱人。訪問介護を生業としている。3日泊まり込み、1日休みをとるのが基本ローテーション。しかし、ご指名が多くなかなか休めない。
新しい介抱先に出向き、介抱のめどがたったら、別の介抱人や身内に後をゆだねる。お咲は、自分の仕事をそんな橋渡しと心得ている。
江戸時代、年寄りの介抱を担っていたのは男だったそうです。町人も武家も。奥さんがやる義務はなかった。一家の主人が差配するのが孝の原則だったので、お金にゆとりがあれば、介抱人を頼んだりもした。これは知りませんでした。
時代小説でありながら、老碌の症、老老介抱、無尽講など、現代と共通するフレーズが出てきます。「介抱は、一人と二人ではできることが天と地ほど違うのだ」。御意。
とくに「狸寝入り」の章は、思わず笑みがこぼれてしまいました。私も、狸寝入りができるように修行いたしましょう。寝た子?は起こさぬよう願います。
*1:花いちもんめ(1985)
リーダーは偉い
アイコンが山になっているので、ちょっとだけ書きます。
むかしはグループで山に入ったのですが、あるときからピタリとやめました。その理由は、リーダーに従うのがいやになったからです。もう歩きたくなくても歩かされる。
リーダーが決めたように行動するのは、メンバーの義務です。たいていの場合、リーダーはメンバーよりも正しい決断を下します。
引率した先生は、地元で何度も通い、部員を指導してきたのでしょう。生徒は、経験豊富なリーダーの言うことを聞きます。でも、私のように疑問に思った子もいたのではないでしょうか。なんで、こんな天候なのに登るのかと。
吹雪いていたので、そんな余裕はなかったでしょうか。もし私がリーダーなら、すぐに訓練中止です。楽しみにしていた生徒たちは、貴重な体験を積むチャンスをなくします。リーダーが無能で、臆病だからです。
どちらにしても、決めるのはリーダーです。メンバーの命に対して責任があるのだから。
西堀栄三郎『南極越冬記』(岩波新書 青版)
これ、ドラマになってますね。西堀役が香川照之でした。私が理想とするリーダーです。
「南極大陸 DVD-BOX」
物語から生まれたレシピ本
料理が得意でなくとも、ページをめくるだけで楽しい本を紹介します。
みをつくし献立帖 (ハルキ文庫 た 19-9 時代小説文庫)
高田郁「みをつくし料理帖」シリーズに登場した料理のレシピ集で、写真付き。
バルサの食卓 (新潮文庫)
上橋菜穂子「精霊の守り人」シリーズから、架空の料理をチーム北海道が形にしたもの。
大草原の『小さな家の料理の本』 ローラ・インガルス一家の物語から
ご存じ「大草原の小さな家」シリーズから、ローラの時代の料理レシピを再現したもの。味の保証はできません。
おまけ
どのシリーズも、NHKでドラマが放送されています。なんだか「きょうの料理」みたいになってきましたね。ついでにこんなDVDも。
きょうの料理『帝国ホテル 村上信夫の世界』全2巻(NHKエデュケーショナル)
高田郁『みをつくし料理帖』vsあさのあつこ弥勒シリーズ
女の人が書く時代小説の中でも、この2作品は対照的です。
『八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)』
高田郁は、山本周五郎にノックアウトされて時代小説を書きはじめました。『みをつくし料理帖』は、朝ドラのような明るさと軽快さがあります。作者は、おそらく図書館にこもって調べものに明け暮れて書いたのでしょう。近所に「つる家」みたいなお店があったらな、と思わせる小説です。
『弥勒の月 (光文社時代小説文庫)』
『バッテリー』で有名になったあさのあつこは、藤沢周平の影響で時代小説を書きはじめました。代表作の弥勒シリーズは、まだ完結していません。はっきり言ってネチネチした小説です。とくに『冬天の昴』は圧巻。最新刊の『花を呑む』は、流産した話から入るので、ヒリヒリします。
それぞれに師とする作家がいるのに、作風を受け継いでいません。2人とも、独自の路線を歩んでいます。
『みをつくし料理帖』は、料理の好きな方はもちろん、どちらかというと若い人向きかもしれません。弥勒シリーズは、事件を解決する捕物帳のスタイルをとりつつも、心理的なキャッチボールが濃密です。ふわふわした読み物にあきたりない方はどうぞ。