あれから30年 その後のミニマリスト

節約しすぎないシンプルライフ

自宅で介護するのは、やはり大変です

 

はじめに

50代になると、介護が視野に入ってきます。そういう年回りです。そのころ、引っ越しの覚悟を決めました。幸いにしてかどうかわかりませんが、周囲の反対により、実現することはありませんでした。でも、そのときに心の中で区切りをつけたので、身辺整理に無理なく入れました。

核家族が多くなり、老親と同居する人は減っています。しかし、介護はいつ身に降りかかってくるかわかりません。気づいたことをいくつか書いてみます。私が直接差配したことはないので、割り引いて読んでいただければと思います。

介護のバリエーション

一族を見まわしても、自宅介護、病院で長期療養、有料老人ホーム、特養、グループホームといろいろです。有料老人ホームと特養では、看取りをしてもらえました。

訪問医療は可能か

自宅介護するには、往診してもらえるドクターと出会えるかが鍵です。うちの場合は、大きな病院で紹介してくれました。わからないときは、訪問看護ステーションに問い合わせるのがいいと聞きました。あの医者はダメよ、とか教えてくれるかもしれません。

自宅介護するかどうかで悩む

国の方針として自宅介護を推進していますが、実際にやっているのを見ると、かなり大変です。介護職の人でも、自分の親は施設に入れると明言しています。

たとえば、認知症が進んで家族の手に負えなくなったとき、有料老人ホームに入ることで症状が落ち着きました。ストレッチャーでかつぎこまれたのに、数か月で伝い歩きができるようになりました。他人に対する遠慮があり、わがままも出にくいようです。

自宅で介護ができそうな人は?

母親が父親を介護しているのを見ていた人、家事が得意だけどずぼらな人、周囲の者たちを手足のように使える人。母は、介護中でも遠くまで散歩に出かけていました。息抜きしなくては、続きません。

おしまいに

病気がひとつくらいあっても、年をとるとポックリいけません。介護は、長丁場です。完璧を求めずに、制度でも、保険でも、役に立つものは総動員して、しのいでいきましょう。

長岡美代『介護ビジネスの罠 (講談社現代新書)

読んで楽しい本ではありませんが、転ばぬ先の杖として一読を。

アーリーリタイアの前にやっておくべきこと

 ちかごろ増えてるアーリーリタイア、その前にやっておくことがあります。

お金のコントロール

これは単純な話で、自分の家計をしっかり把握しておくことです。もちろん、その上で出費を圧縮します。

目安としては、月に10万円貯金が増えないようでしたら、アーリーリタイアを先延ばしにした方がいいです。資産が多い人は別ですが。

先のことを考えて、用意周到に準備する人なら、リタイアしても滑り出し順調です。しかし、私の場合は見切り発車だったので、1年目に大きく貯金を減らしました。回復するのに、何年もかかりました。

巷間では、生活防衛費は2年分と言われていますが、無計画な人はもっと積んでおいた方がいいです。安心感がないと、どつぼにはまってしまうかもしれません。

どこに住むか

もうひとつ決めておくことは、住むところをどうするかです。現在のままか、住居費の安いところへ引っ越すか。大都会から地方へ引っ越すと、家賃が安くなっても、車が必要になります。トータルでは、さほど変わりません。

それなら、もっと田舎に引っ越せばいいだろう。そう思った人は、それなりに調べているでしょうから、何も申し上げません。

素直な感想を述べれば、やめておいた方が無難です。それこそ、若い人を見習ってください。どうして若者は都会へ出ていくのか、そこに答えがあります。

めでたくリタイア

さて、これでベースが整ったでしょうか。住むところがあり、多めの貯金があれば、アーリーリタイアは可能です。リタイアしてから何をするかは、おまかせです。不問です。ハッピー・リタイアメントにならんことを。

人生の転回はゆっくりと

出産と育児、卒業と就職、結婚と新婚旅行、いろんなことがセットで起こります。それ以前と以後では、くっきり違います。急転回ですね。

ジジババが急転回すると、転倒してケガをします。安全のためには、少しずつ踏みかえながら、進む方向を修正するのがよさそうです。

数年かけて生活を変えてきましたが、その仕上げとして1つの仕事を終わりにし、ブログをはじめました。ふつうの人なら、もっと早くはじめたでしょう。しかし、むかしから二股というのが苦手なのです。

軌道修正するのに、2つの指針を定めました。

  • ずーっと年下の人から学ぶこと。中年の入口でコースを決めたままなので、世の中の変化にぽつんと取り残されているかもしれないからです。自分が説教したくなるような人の方が、正しい選択をしているかもしれない。
  • なるべく人のまねをすること。これまでは無意識のうちに、人のやらないことの方へ足が向いていました。こんどは逆に、みんながやるようなことをやってみようと思いました。というわけで、はてなブログです。

私が選択しなかったのは、ノマドになることです。自分の中には、3つのモデルがありました。いずれも夫婦2人です。

  1. 55歳で定年退職して、永住先を求めて、旅する人。一流企業でサラリーマンをやっているうちに、日本人が嫌いになってしまいました。米国や南米で長期滞在した経験があり、さらにアジアへと目を向けました。それでも、ここという場所が見つからず、漂流したままでもいいか、というのが結論のようです。
  2. 退職後、家を売り払い、キャンピングカーを買って、国立公園のキャンプ地を移動するアメリカ人。そういう人は多くて、行く先々で交流する楽しみがあります。
  3. 小さな船を作り、欧州の運河を巡っているフランスの年金生活者。停泊地では、燃料の補給や下水処理などのサービスが受けられます。

私の場合は、ベースキャンプを定め、そこから各地へアタックするほうが向いているので、ノマドにはなりませんでした。どちらにしても、自分の終着点へ向けて、家をどうするかが課題になりそうです。

節約も度が過ぎると

 

節約とは、出を制すこと。できないひとが、手っ取り早くできるようになるには、どうするか。とても簡単です。

節約力をアップするには、旅に出るのがいい。

往復切符を買って、空港に降り立てば、もう現地人。帰国するその日まで、持ってきたお金でやりくりしなくてはなりません。ホテル、美術館、交通費…、何をしてもお金に羽がはえて飛んでいきます。宿で一緒になった人を見ると、家計簿をつけてるじゃありませんか。さっそく、マネしてみました。

たしかに使わなければ、お金は残ります。かといって、ただ節約するだけでは、旅っておもしろくないんですよね。たまにはリッチな食事をしたり、劇場に足を運んだり。そうやってメリハリをつけることも覚えました。

そうこうしているうちに、気がついてみると、節約力がアップしているわけです。めでたし、めでたし。

コスト削減にはまる

のちにサラリーマンとなり、品質・コスト・納期の世界に放り込まれました。初めて担当した仕事で、緊張したためか、一気に節約モードに入ってしまいました。無駄を省き、ゴールめざして一直線。それでも、なんとか完了できました。

ところが、終わってみると、コストが異様に低いのです。原価チェックのおじさんに呼び出されて聞かれました。これ1ケタ間違ってないですか?と。

そのときに、やっと気づきました。もっとコストをかけるべきだったと。それはムダ使いということではなく、もう少し時間をかけてキャッチボールしたり、何かやるべきことがあったのではないかと。

A地点からB地点まで移動するだけが、旅ではありません。そこでいろんな人と出会ったり、体験したり、そいうものをひっくるめて旅なんです。

仕事も同じで、Aという状態を加工してBという状態にするだけでなく、そのプロセスで成長してこそ仕事といえるのです。つまり節約が過度になってしまうと、仕事がやせ細っていくのではないかと、気づいたわけです。

節約とは、出を制すこと。やりすぎると拒食症になる。

というのが、結論でしょうか。ほんとは、そんなことを考えず、楽しくやっているうちに、いろいろ身についてくるのが一番なんですが。

シンプルな食べものとは

グルメとかレシピサイトとか、モアベターな食文化が盛り上がっているようですね。では、盛り下がるとどうなるでしょうか。

土井善晴一汁一菜でよいという提案

土井さんは、1957年生まれ。土井勝という著名な料理研究家を父に持ち、欧州でフランス料理を学んだ人です。帰国して、和食を再発見し、日本料理を修行しました。そしてたどりついたのが家庭料理なのです。

一汁一菜とは、ただの「和食献立のすすめ」ではありません。一汁一菜という「システム」であり、「思想」であり、「美学」であり、日本人としての「生き方」だと思います。

フランス生活の影響か、理屈っぽいですね。ハレの料理とケの料理を区別しましょうと。さらに、家庭料理はおいしくなくてもいい、とまで言い切っています。

本としてはごった煮です。具だくさんの味噌汁とかの写真だけでなく、思いのたけをすべて綴ってくれました。ふだんの料理番組というのは、その上澄みをいただいているのですね。

堀井和子うちで焼く丸パン

堀井さんは、1954年生まれ。上智大学フランス語学科卒業です。コックさんでもなく、パン屋さんでもありません。スタートは、料理スタイリストのようです。

しばらくアメリカに住み、帰国後、パンの本を書きました。「堀井和子の気ままなパンの本」(1988)、「堀井和子の1つの生地で作るパン」(1996)、そして「うちで焼く丸パン」(2004)。8年ごとの出版ですが、どんどんシンプルに。

本書には、13種類のパンが掲載されています。その中のひとつがブレッチェンです。旅をした時の朝食はこれが定番でした。ナイフで半分に切り、ジャムやバターを塗って食べるのですが、付け合わせが何もないのです。おまけに、フランスだとコーヒーが丼に入って出てくるし。これがミルクティーならどんなによかったか。コンチネンタルは、いささか栄養不足ですね。

料理のベテランになると、一汁一菜とか1つの生地とか、作るものもシンプルになってくるようです。